ダム撤去年表

A Chronology of Dam Removal by Friends of the River

1928 セント・フランシス大規模ダム(高さ180フィート以上、巾600フィート以上)が倒壊し、ロスアンゼルス北部のサンタクララリバー渓谷に水の壁を流れ落とした

1931 地元のスポーツマンたちがアイダホのサーモン川のサンビームダムに激怒。アイダホ水産局は1934年にサウトゥース川流域において、降海性の紅鮭がレッドフィッシュ湖や他の産卵湖に往来を復活させるプロジェクトを完了し、紅鮭はレッドフィッシュ湖に戻り、1995年には4361匹を数えるに至った。しかし、スネーク川とコロンビア川にさらにダムが造られ、紅鮭は再び減少、1995年にはゼロとなった。

1970 スィージーダム(1938年にカリフォルニア州マッドリバーに建設)が、鮭の産卵区域を復活のために壊された

1972 ウェストバージニアにて、Buffalo Creekダム(炭鉱廃石で作られた)が、決壊し、125名が亡くなった。

1973  アイダホ州知事セシル・アンドラスが、ワシントン水力発電ダムを爆破し、6マイルの清流を復活させた

1976  6月5日、南アイダホテントン川のテントンダムが破損し、11人の死亡と9億ドルの損害となった。

1977  ジョージア州タコア滝ダムが決壊し、39名が死亡。

セシル・アンドラス(カーター政権の内務長官)が、連邦議会で報告「アメリカでのダム建設の時代は終わった」"We are coming to the end of the dam building era in America."

1982  7月Lawn Lakeダムが決壊、3500万ドルの損害と3名の犠牲者となった。

1986  連邦議会は電力消費者保護法を通過。それは連邦電力法を改訂し、連邦エネルギー規制委員会(FERC)に、発電と川の自由な流れ(リクリエーションとエコロジーの価値)を対等と考えることを要求するものです。

1989 川環境保全と釣人の団体は、メイン州のケネベック川のエドワーズダム(高15フィート)の撤去を要求。

1992  ワシントン州エルワ川での鮭生息と河川勾配に関する長年の調査の後、その川には歴史的に10種類の在来の遡上魚が棲んでいました。議会はオリンピック国立公園にあるエルワダムとグラインキャニオンダムの撤去を承認するエルワ川生態系再生法を通過。しかし、その目的のための適切な基金は無い。

1944  12月、FERC(連邦エネルギー規制委員会)は、再許可申請を拒絶し、ダムを撤去することを所有者に命じる権限を持つことになった。

1995  連邦裁判所の命令を受けて、陸軍工兵隊はアイダホとワシントンのスネーク川4つのダム撤去の調査を引き受けた。クリントン政権はその後、1999年12月にスネーク川のダム群の撤去決定意見に同意。スネーク川沿いのダムを取り払いにより、見た目にも自然の状態を取り戻し、鮭とスチールヘッド鱒の生息域を140マイルにわたり作り出した。

リチャード・インゲブレトセンは、グレンキャニオン研究所を設立し、コロラド川のグレンキャニオンダム撤去の可能性を評価する「市民の環境影響評価」に着手しました。

7月27日、「環境影響評価」はオリンピック国立公園により公表され、その研究結果はエルワダムとグラインキャニオンダムの撤去はかつての幻の鮭復活の最良の方法とされた。その研究には、経済学者John Loomisによる、エルワ川の無形の資産価値(漁業、レジャー、自然、景観、エコロジ-バランス)の数量化も盛り込まれた。彼の推定によると、エルワ復活は年間35億ドルの非市場利益となった。

2月に、「Human Rights Watch(人権監視)」は世界の最悪ダム被害の物語(1975年8月に中国河南省で起きた悲劇)を出版。1950年代に長江支流の淮川流域に巨大な板橋(Banqiao)ダムとShimantanダムが建造された。台風が8月5~7日の3日間、河南省を襲い、7日の晩に、板橋ダムは倒壊し、500トンの水が時速30マイル以上で一気に流れた。小さい方のShimantanダムもその後すぐ壊れた。省内各地で60の小さなダムが同じく壊れた。Human Rights Watchは、少なくとも85,000人が最初の洪水で犠牲となり、その後の飢餓と疫病でさらに14.5万人が亡くなったとみている。

ロバート・デバインは、「The Trouble with Dams(ダムによる災難)」と題する記事を全国誌「Atlantic Monthly」に掲載。その大部分を「The Demolition Option(破壊のオプション)」の表題でダム撤去の議論にあてた。

1996  8月、バーモント州クライド川の倒壊しかけたニューポート第11ダムが撤去され、40年間ぶりに初めて鮭が遡上。

ニューハンプシャーの小さなダムが決壊し、1人が亡くなり、550万ドルの損害となった。

パトリック・マッカリーは、「沈黙の川」を出版し、その中で、ダムは今世紀中に少なくとも12,000人(中国を除く)を殺したと報告。

1997 シエラクラブはグレンキャニオンダムの撤去とパウエル湖の水抜きを支持。

灌漑地域の地元は、オレゴン州ローグ川のサベージラピッドダムの撤去に賛成。

フロリダ州オクラワハ川のロッドマンダムの撤去が魚と自然の再生のために提案された。

5月にアイダホ州知事候補Bob Huntleyは、巨大ダム撤去プログラム(スネーク川ダム群一掃)を支持するために、与党第一候補となった。

7月に、アイダホの最大新聞(The Idaho Statesman)は、スネークダム撤去に賛成と社説で論じた。それは8ページ全カラーイラストで組まれ、スネーク川下流4つのダムの栓を抜くことで年間1億8300万ドルの総合経済効果が生まれることを力説した。

American Riversは、経済学者フィル・メイヤーによるワシントン州ホワイトサーモン川のコンディットダムに注目したレポートを発行。

11月25日、FERCは、メイン州オーガスタ、ケネベック川のエドワーズダムの撤去を命じた。この1837年に作られ小さな個人用水力発電ダムは、遡上魚種10種(アトランティックサーモン、ストライプドバス、アメリカンシャッド、絶滅危惧のショートノーズチョウザメなど)の遡上を阻んでいた。権利者のエドワーズ製造会社は要求に約束した。

11月には、スプリングランチヌックサーモンの産卵域復元のために撤去されるカリフォルニア州ビュッテクリークの4つの小さな堰ダムの最初が、マクファーリンダムとなった。

12月17日に、北カリフォルニア、ニュース川のクエーカーネックダム(巾260フィート)の撤去が始まった。これは単に環境のために破壊される最初の巨大ダムです。そのダムの撤去はストライプドバス、アメリカンシャッド、ヒッコリーシャッド、ショートノーズチョウザメの産卵域をニュース川で75マイル以上、支流で900マイル以上にわたり、adromous fishが遊泳可能となった。

ミジガン州パイン川でのダム撤去が開始。

The U.S. Forest Service(米国森林サービス)はカリフォルニアのエミグラント野生区域10の小さなロックダムが倒壊するにまかせることを決定した。地元の連邦議会議員ジョン・ドゥリトル(ダム熱狂者として知られる)はその後、ダムの維持管理の続行を要求する議案を議会に提出した。

National Marine Fisheries Service(国立海洋漁業サービス)により絶滅危惧認定種のスチールヘッド鱒の南海岸における生息数リストから、マリブクリーク州立公園の公式資料は、マリブクリークのリンジダムの撤去を検討することを提案した。マリブクリークのリンジダムの撤去はスチールヘッドとパシフィックヤツメウナギの渓谷での産卵域を8マイルまでに復活するであろう。

1998 ケネベック川のエドワーズダム撤去のために道路を舗装することに合意。バス鉄工所は造船所拡大に伴う湿原へのダメージ分を、敷地外で緩和するとしてダム撤去費用を支払うことに同意。権利者のエドワーズ製造会社は異議を却下することに同意した。

カリフォルニア州の公園とリクリエーション部は、銀鮭とスチールヘッドの産卵域復活のために、サンタクルーズそばのワイルダーランク州立公園のワイルダークリークダム撤去の認可を申請。

クリントン政権は、議会の委員会がエルワダム撤去に使うために、陸水域保全基金から8600万ドルを認可するように提案した。

ネバダ州ピラミッド湖のPaiute族は、タホ湖からピラミッド湖の間のトラッキー川下流の3つのダムの撤去を提案した。マーブルブラッフダム、ヌマナダム、ダービーダムの建設はラホンタンカットスロート鱒のピラミッド湖種を根絶し、巨大な吸盤魚クイウイのピラミッド湖固有種を脅かしました。いったんピラミッド湖から移動した移住魚は毎年5月にトラッキー川で繁殖します。魚クイウイは、数千年のPaiute族の文化の中心であった。クイウイは米国漁業と野生サービス(U.S. Fish and Wildlife Service)から、絶滅危惧の指定となっていた。

4月2日、上院議員スレート・ゴートン (ワシントン州共和党)は、エルワ川のグラインキャニオンダム撤去が少なくとも12年かかることで遅れることを議案提出しました。そしてコロンビア川流域の各地で修復するという制約でのエルワダム撤去を条件としました。

5月にアイダホ漁業とゲーム委員会は、アイダホの危機的な野生の鮭とスチールヘッド鱒の遡上を復活させるために最良の生態学的な選択として、ダムの運用停止の是認を満場一致で採決した。

その5月にさらに、米国ダム協会の公式レポートで、米国の老朽化したダムは深刻な危険があり、今後20年間に毎年10億ドルを超える必要修理費がかかるとされた。その協会はダムの有効寿命は50年であると述べ、国内75,000のダムの4分の一がその寿命を過ぎていると述べた。最近の報告で、ガネットニュースサービスは国内の2,105のダムが安全ではないと算出し、生命と財産に潜在的な脅威があることを示した。

6月17日、ウィスコンシン電力会社が維持する4つのダムの撤去が開始され、メノミニー川とウィスコンシンとミシガンの間を流れる支流の160マイルを開通させた。

7月15日、ベアクリークダム(オレゴン州メドフォード)の撤去がコホサーモンの産卵域回復のために開始。

8月4日、内務長官ブルース・バビットは、アメリカのエコロジー社会に関するスピーチを行いダム撤去を支持。彼は「私の親の世代は米国の川をまたぐダム建設盛りであった。私の世代はダムにより、どのようにこの川が変えられ、変質し、殺されたかを見ました。あなたの世代は、どこに、どのように、ダムを残すのか潰すかを決めなければなりません。」

8月10日、カリフォルニア全州の川の保全団体フレンズ・オブ・リバー(Friends of the River)は、ダム撤去トップ10のリストを発行。それは以下のダムです。

 

Yuba 川のEnglebrightダム と Daguerra Point ダム、

Battle CreekのColemanダムとEagle CanyonダムとWildcatダム、

North Fork of the Kern 川のFairview ダム、

Butte Creek のCenterville Head ダム、

Clear CreekのMcCormick-Saeltzer ダム、

Malibu CreekのRindge ダム 、

Matilija CreekのMatilija ダム、

Mill CreekのClough ダム、

South Fork of the American川の El Dorado ダム,

Truckee川のFloriston ダム

 

Richard Penny, Ph.D. Development Director Friends of the River

915 20th Street Sacramento, CA 95814

(voice) 916-442-3155 x201 (fax) 916-442-3396

rpenny@friendsoftheriver.org

http://www.friendsoftheriver.org

 

<お知らせ>

愛知県長良川河口堰最適運用検討委員会がパンフレットを発行しました。

 


 
 
 
 
 
『166 キロの清流を取り戻すために まずは長良川河口堰の「プチ開門」を実現しましょう

 http://www.pref.aichi.jp/soshiki/tochimizu/nagara-sasshi.html 愛知県のHPに内容が掲載されています
★冊子を希望する場合は上記のアドレスから

申込が可能です。

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会報Vol.10をHPに掲載しましたのでご覧下さい。

 

オーストリアの統合治水、現場報告

ヨーロッパ河川再生会議報告